治療や健康診断のために通院したものの、帰宅後にねこさんの「機嫌が悪い」「よそよそしい」「元気がない」などといった状態にお悩みの飼い主様も多いのではないでしょうか。これらはねこさんのストレス行動の一種と考えられています。ねこさんのストレスになるようなことは極力避けてあげたいと思うのは自然なことですが、だからと言って「通院しない」という選択肢はねこさんの健康寿命へのリスクになりかねません。ねこさんの健康維持のためにも、通院時のストレスケアについて考えてみませんか?
通院前からできるねこさんのストレスケア
先月参加した「猫の集会」(ねこ医療の学会)でも、通院前後のねこさんのストレスケアについてはトピックの一つとして取り上げられていました。やはり同じ悩みを持つ飼い主様は多くいらっしゃるようです。当院では、こういったお悩みへのご提案として、まずは通院前に服用できるストレスケアのサプリメントをおすすめしています。
ねこさんのストレスを緩和するためのサプリメントは、ねこさんの脳内にある精神を落ち着かせるための神経伝達物質と同じような働きをします。こちらは処方薬ではなくサプリメントなので使用制限はなく、気軽に始めやすいという点が特長です。病気やケガの治療のための通院だけでなく、健康診断の際にもぜひご活用ください。
- 服用期間について
これは、通院日にだけ服用するのではなく、通院日の数日前から服用し、通院後もねこさんの行動が落ち着くまでの数日間継続して服用いただくとより効果的です。ねこさんによっては、落ち着くまで1週間くらいかかる場合もありますので、服用期間については獣医師とご相談ください。
なお、こちらのサプリメントは初めて通院される際にもご使用いただけます。第一印象は大切です。ねこさんが動物病院に対してネガティブな印象を持たないようにするためにも、初回から服用していただくことに対して当院では大いに賛成しています。
- 予約・購入方法
当院をご利用いただいている方には、お電話でご予約の際に「サプリメントを試したい」とお申し出ください。送料をご負担いただく形になりますが、ご予約日前までにお送りします。お近くの方は取りに来ていただくことも可能です。サプリメントの費用は来院時の会計と一緒に行います。
同居のねこさんとの関係性について
通院に関するもう一つのお悩みが、「同居のねこさんとの関係性が悪くなる」というものです。複数のねこさんを飼われているお宅では、一匹が病院のにおいをまとって帰宅すると、周りのねこさん(たち)が警戒し、攻撃したり喧嘩になったりする場合があるのです。何も対策せずにこういった状況を迎えてしまうと、それぞれのねこさんだけでなく飼い主様も辛い思いをしてしまいますよね。
このように複数のねこさんを飼われている場合、当院ではまずは飼い主様に「通院するねこさんだけでなく、同居のねこさんにもケアが必要だ」ということをお伝えし、心の準備をしていただくようにお願いしています。そうすることで、それぞれのねこさんのストレス行動が表面化した際にも落ち着いて対処することができます。
同居のねこさんのストレス行動の度合いによっては、先に紹介したサプリメントや次に紹介するスプレーなどのご利用をご提案することもあります。ねこさんの性格や飼育状況によって個別にご提案しますので、まずはぜひ一度獣医師にご相談ください。
サプリメント以外のストレスケア方法
もしサプリメントを服用してもねこさんのストレス行動が落ち着かない場合はどうすれば良いのでしょうか。
ねこさんによっては、自分のテリトリー外に出ることに過剰に反応してしまう性格の子もいます。「ひどく怒る」「暴れる」といったパニック行動に出てしまうと、ねこさん本人だけでなく飼い主様にとっても大変危険な状況になります。そのような際には、ねこさんの不安を取り除くためのお薬を処方することで対処いたします(要事前相談)。
また、当院ではねこさんが好む香り(フェロモン)を院内のブランケットなどにスプレーして、できるだけねこさんに病院を安心できる場所として印象付ける工夫を行っております。こちらのスプレーは、病院で取り扱っております。日常的にご自宅で使っていただくこともできます。
おわりに
ねこさんの健康維持とストレスケアを両立することは、ねこさんを含む家族全員の幸せにつながります。ねこさんも飼い主様も安心して通院していただくために、来院時および通院時のお悩みについてどんな小さなことでもご相談をお受けしています。「気になる」「困っている」ということがありましたら、ぜひ一度ご相談ください。