猫さんの祖先は砂漠で暮らしていたため、彼らの体は水分をあまり摂らなくても生活できるような作りになっていると考えられています。しかし、水分不足によって尿が濃くなると、尿路結石などの泌尿器系の病気になるリスクが高くなります。今回は、寒い冬にとくに注意したい猫さんの泌尿器系の病気について解説します。
尿路結石の症状
泌尿器(腎臓や膀胱、尿管、尿道など)に結石ができる尿路結石は、年齢や性別、品種に関わらず、どの猫さんでも発症する可能性はあります。泌尿器のどこにでも結石はできる可能性がありますが、ただそこに「ある」だけでは目立った症状は出ません。
しかし、腎臓などで形成された結石が大きくなり、何かの拍子で尿管や尿道に落ちて詰まってしまうと問題になります。痛みが生じますし、時間が経過すると腎臓に大きなダメージを受けて命に関わるため、すぐに対処しなければなりません。猫さんがトイレでうずくまって踏ん張っているけれども尿が全く出ていない場合や、尿の出が悪く(ポタポタとしか出ていない)機嫌が悪い場合などは非常に危険な状態の可能性があります。そのような様子がある場合は、至急受診されることをおすすめします。
検査や治療法
▲猫さんの採血の様子
尿路結石は症状が出た時には非常に深刻な状態となってしまうため、普段から予防を心がけることが重要です。定期的に健康診断を受けることによって、猫さんの泌尿器内に結石があるかどうか、またそのリスクがどの程度あるかということを調べることができます。
健康診断によって結石の元になる結晶が確認されると、軽度の場合は、まず食事療法によって経過を観察します。例えば、食事にウェットフードを取り入れる、猫さん用の経口補水液を活用する、などの方法があります。また、「冷えた水が好き」「ぬるめの水が好き」「ステンレスよりも陶器の入れ物から飲むのが好き」「蛇口から垂れる水が好き」など、猫さんそれぞれに「好みの水の飲み方」があるはずです。「食事スペースと水を飲むスペースを離す」という方法も効果的です。猫さんに合った方法を見つけて水を飲みやすいように環境を整えてあげることも尿路結石の予防の一つです。
▲院長の家族のチョコちゃん(サビ柄の女の子)は、陶器の器と風呂の洗面器から飲むのが好きです!
定期的な健康診断をご検討ください
基本的に、7歳未満の猫さんは1年に1回、7歳以上の猫さんは1年に2回の健康診断をおすすめしています。
▲こちらは猫さん専用の尿比重計です。腎臓の健康チェックには欠かせません。
当院で健康診断を受けていただく場合、オンラインまたはお電話にてご予約いただき、ご来院後に問診をさせていただいた上で猫さんに最適なプランをお選びいただきます。ほとんどのプランに尿検査が含まれていますので、可能な場合は事前に採尿していただくようお願いしています。ただし、猫さんの採尿方法はトイレの形状や猫さんの性格によっても異なります。初めて採尿される方は、一度お電話にてお問い合わせの上、採尿方法についてご相談ください。また、事前にご来院いただける方には、問診票や採尿用の容器をお渡しし、採尿方法について具体的にご説明いたします。
▶健康診断についてのお問い合わせ:011-206-8249
おわりに
定期的に健康診断を受診していただき問題がなく、また普段から元気な様子が見られるのであれば、尿路結石について過度に心配する必要はありません。「しばらく健康診断を受けていない」という猫さんは、寒さが厳しくなる前にぜひ一度健康診断をご予約ください。
診察時間:8:30~13:00/15:00~17:30(火曜16:00まで)
休診日:水・日・祝
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