札幌ねこの病院では、最新の知見に基づいた獣医療サービスを提供するため、スタッフ全員が学び続け、知識や能力をアップデートできる環境を整えています。
先月7日には、酪農学園大学獣医麻酔学ユニット准教授の伊丹貴晴先生をお招きし、当院にて「麻酔セミナー」を実施しました。とくに「ねこさんに優しい麻酔とは?」というテーマを設け、講義と実践の二部形式でねこさんの麻酔管理について教えていただきました。主に当院の愛玩動物看護師を対象としたセミナーでしたが、獣医師やキャットケアスタッフも含め、当院のスタッフ全員が参加し、改めて麻酔管理についての知識を深める場になりました。
ねこさんの「麻酔セミナー」

当院では、ねこさんの避妊去勢手術や腫瘍の手術、口腔内の処置などの際に、手術や検査を安全に行い、痛みをコントロールするために麻酔を使います。ねこさんは、犬などに比べて環境の変化に敏感に反応しやすく、ストレスケアを含めた麻酔管理が必要になります。
当院では麻酔の投与は獣医師が行い、愛玩動物看護師やキャットケアスタッフが麻酔管理補助を担当します。今回のセミナー講師は、酪農学園大学で獣医麻酔学を専門に研究されながら、多くの臨床現場もご経験されてきた伊丹准教授。主に愛玩動物看護師向けということで、ねこさんの特性にあった薬や器具、さらにそれら使用方法についての解説のほか、麻酔処置中の状態の変化とその管理方法、注意点などについて、最新の知見や研究データなどを交えながら詳しく講義していただきました。座学での学びの後には、実際に麻酔処置が必要なねこさんの口腔手術を見学。麻酔モニターを見ながら、さまざまな数値の意味やそのメカニズムについてじっくりと教えていただきました。処置の方法だけでなくその根拠を含めて解説していただいたので、大変分かりやすく、当院スタッフにも「腑に落ちた」と好評でした。
キャットフレンドリーな麻酔管理とは
ねこさんはストレスを感じやすい動物なので、来院前から麻酔後まで一貫してストレス対策を行うことが重要なポイントの一つになります。当院では、ねこさんの性格に応じて事前鎮静をご提案する場合もあります。また、麻酔前後は静かな環境で過ごしていただくように配慮したり、目隠しやフェリウェイ(フェロモン製剤)の使用などを組み合わせることによって、ねこさんが少しでも落ち着いて麻酔処置を受けられるように工夫しています。
全てのねこさんに同じ麻酔薬を適用するわけではありません。事前検査を行った上で、一頭一頭の体質(年齢や体重、体調、基礎疾患など)に合わせて使用する麻酔薬の種類や量を調整して計画を立て(麻酔プロトコル)、麻酔中の経過を見ながらさまざまなお薬を組み合わせて使用していきます。
当院では今回のセミナーで得た知識と経験を、今後もねこさんにとってより負担の少ない麻酔治療に生かしていきます。
おわりに
本セミナーでは、麻酔がどのようなメカニズムで作用するかといった理論的なお話も含めて実践的に教えていただいたので、当院スタッフにとって学びを深める大変貴重な場となりました。教えて下さった伊丹先生には、この場を借りて改めて御礼申し上げます。
札幌ねこの病院では、飼い主様の不安や疑問にしっかりとお答えするために、今後も今回のような院内セミナーを継続し、最新の知見に基づいた獣医療サービスを提供していきたいと考えております。麻酔についても気になることがありましたら、お気軽に当院スタッフにお尋ねください。
トピックス

前回お知らせしました「ねこさんのホームデンタルケアセミナー」は、予定通り10月18日(土)をもって申込受付を締め切りました。たくさんのご応募をありがとうございました。
お申込いただいた方には、10月20日(月)までに参加確定のご連絡差し上げますので、よろしくご確認いただきますようお願いいたします。