人間と同じように、ねこさんにも輸血が必要となる場合があります。しかし、人間と違って血液バンクのようなシステムが整っておらず、輸血が必要でもすぐに十分な血液を確保することは大変難しいというのが現状です。

札幌ねこの病院では、一匹でも多くのねこさんとその飼い主の皆様が安心して治療を受けられる環境を整えるために、献血ドナーとして登録にご協力いただけるねこさんの募集を行うことといたしました。

ねこさんのドナー登録とは

さまざまな原因による重度の貧血や出血などによって、ねこさんが輸血を必要とする場合があります。現状では、輸血を必要とするねこさんの周り(兄弟や同居のねこさん、お知り合いなど)で探していただく状況ですが、すぐに見つかることは少なく、治療に時間がかかってしまうという課題があります。また、病院飼育のねこさんから供血を行う場合もありますが、負担が大きく限界があります。ねこさんの血液製剤の開発も進んでいますが、まだ一般的ではありません。

当院では、献血ドナーとしてご協力いただけるねこさんを募集することによって、上記の二つの課題(輸血が必要なねこさんをできるだけ早く治療してあげたい/少数の供血ねこさんの負担を減らしたい)の解決へとつなげていきたいと考えております。任意でのご協力となりますが、もし関心をお寄せ下さる方がいらっしゃいましたら、ぜひ本記事をお読みいただけたらと思います。

献血ドナーの役割

献血ドナーとしてご登録いただくねこさんは、ご登録時にまず健康チェック(ドナーとしての条件項目を確認)を行っていただきます。条件を満たしている場合は本登録に進みます。ねこさんの献血では、血液を長期間保存しておくことができないため、登録時点では献血は行わず、輸血が必要となった時に、当院から改めてご連絡・ご相談させていただきます。その際、血液の適合チェックを実施した上で採血を行っていきます。

血液を採取する際には、事前の体調チェックを実施し、その子の体格に合わせて安全な範囲で慎重に実施します。必要に応じて鎮静剤を使用し、ねこさんが不安感や不快感を持たないようにサポートしております。ご来院から終了まで1時間から1時間半くらいで終わることが多いです。採血後は、基本的に普段と変わらない生活を送っていただけます。

なお、ドナー登録は7歳で卒業となりますが、7歳に満たなくても疾患などの理由でドナーの対象から外れる場合もあります。また、そうではない場合でも、飼い主様のご意向によって、ドナー登録を取り消すこともできます。

献血ドナーのご登録方法

健康で、以下のような条件を満たすねこさんが献血ドナーとしてご登録いただけます。実際にドナー登録の際には、血液検査を行った上で正式に登録手続きに入ります。

  • 年齢:1歳から7歳まで
  • 体重:4㎏程度以上
  • 飼育方法:完全室内飼育
  • ねこさんの基本的なワクチン接種を完了している
  • ノミ・マダニ・フィラリアの予防を行っている
  • 猫免疫不全ウイルスおよび猫白血病ウイルスが陰性である

ドナー登録についてご検討いただける飼い主様は、お電話またはご来院の際に受付にてお申し出ください。当院スタッフより詳しい説明を行った上で、ドナー登録用紙に必要事項をご記入いただき、検査、本登録と進めさせていただきます。登録に関わる検査などについて、費用は一切いただきません。

ドナー登録をご検討いただける飼い主様へ

ドナーとしてご登録いただけるねこさんには、ささやかではありますが御礼として、ドナー登録期間中は年1回の健康診断(ベーシックプラン)を無料にて提供させていただきます。また、ドナー登録期間中に、ドナーのねこさん自身が輸血を必要とする場合には、優先的に血液の提供を受けられるように配慮いたします。

おわりに

今回このような告知を行うにあたり、まずは現状を知っていただくことが大切であると考えました。本記事がねこさんを愛する多くの方々に届くことを願っています。そして、実際にドナー登録をしていただくかどうかに関わらず、少しでも興味・関心をお寄せ下さる方がいらっしゃいましたら、より詳しいご説明をさせていただきたいと思っております。ぜひ一度当院スタッフまでお問い合わせください。