人間と同様に、ねこさんもさまざまな痛みを感じることがあります。しかし、一般的にねこさんは本能的に痛みを隠す動物だと言われ、痛みがあっても明確なサインを出さない場合が多くあります。痛み自体は小さいものでも、それが続くことによって、ストレスの増加や生活の質の低下など、ねこさんの生活自体に大きな影響を与えかねません。
当院では、まずは診断によってねこさんの痛みの評価を行い、お薬を使いながら痛みをできるだけ軽減することを心がけています。痛みに関しての医薬品開発も進んでおり、ご提案できる治療の選択肢も増えています。
ねこさんの痛みのサインと考えられる原因
加齢による関節炎をはじめ、口の中の炎症や慢性的な消化器の症状(胃腸炎や膵炎など)、腫瘍など、特定の疾患が原因となって痛みが発生することがあります。また、怪我による痛みや動物病院での手術時の痛みもあります。痛みによるストレスでさらに痛みが助長されることや、手術後の痛みによって回復が遅れてしまうこともあります。当院では、痛み自体を治療すべき項目の一つであると捉え、アプローチを行います。
触診の時に部分的に緊張や力みがあったり、足を持ち上げた時に急に嫌がって暴れたりといった場合に「痛みがあるかもしれない」と仮定します。体勢を低くする、目を閉じる、耳が後ろを向く、呼吸が速いなど、微細ではありますが痛みを感じるねこさんに特徴的なボディサインにも注目し、また病院内ではグリマススケールと呼ばれる評価基準によってねこさんの痛みの有無だけでなくその程度についても評価していきます。
ねこさんの痛みの治療について
病院での手術や処置の時に生じる痛みの治療には、複数の鎮痛薬を組み合わせて痛みを管理するマルチモーダル鎮痛という手法を用います。この手法では、一つのお薬に頼らず、さまざまな効果が見込める鎮痛剤を少量ずつ適用するため、副作用リスクを低く抑えたままより高い効果を狙えるという特長があります。また、内服薬だけでなく注射や貼り薬など投与経路にも選択肢があります。それぞれのねこさんの痛みの原因や種類、強さ、通院の頻度などに応じて適切な鎮痛薬を処方いたします。
なお、神経を圧迫する腫瘍などによる痛みは大変強く、一般的な鎮痛剤ではなかなか効果を感じられないこともあります。そういった場合には、医療用オピオイド鎮痛薬などを使って痛みの管理を行う場合もあります。当院では行政による免許を受け、行政の指導の下、適切な取り扱いを行っています。
おわりに
最近では、医薬品以外にもサプリメントや療法食などで痛みのケアができる製品も発売されています。毎日の生活の中で少しでも気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。「痛み」のケアは、時には長く付き合わなければいけないこともあります。ねこさんやご家族のみなさまのライフスタイルに合わせて無理なく行うことのできる治療法をご提案させていただきます。

