ねこさんの口内炎は猫慢性歯肉口内炎と呼ばれ、痛みが非常に強く、内科治療だけでは改善が難しい病気です。同じお口のトラブルとして歯周病がよく知られていますが、口内炎と歯周病とでは、原因も痛みの強さも治療法も大きく異なるため、まずは動物病院でしっかりと診断を受けることが大切です。
ねこさんの「口が痛そう」と思ったら?
「最近カリカリを食べにくそう」
「よだれや口臭が気になる」
「ごはんの前で考え込むようになった」
「ごはんを落としたり食べるのに時間がかかったりする」
「口を触られるのを嫌がる」
「元気がなく怒りっぽくなった」
ねこさんの口の痛みはさまざまなサインとして現れます。
先日開催した院内セミナーでも「ねこさんの口腔内はアルカリ性のため虫歯のリスクは低い一方で、歯周病にはなりやすい」というお話をしました。皆様の中でもねこさんのお口のトラブルとして真っ先に歯周病を思い浮かべる方も多いかもしれません。
ねこさんの歯周病と今回ご紹介する口内炎とは全く異なる病気ですが、「早期発見と早期治療が大切」という点では共通しています。上記のようなサインがある場合には、早めに動物病院を受診してください。
ねこさんの口内炎
今回紹介する口内炎は、歯ぐきだけでなく、ねこさんの口腔内全体(頬の内側やのどの奥、舌まで)に炎症が広がる病気で、強い痛みを伴います。口の痛みから、ねこさんによっては性格が変わったように見えることもあります。
昨年末に開催されたねこの集会(日本ねこ医学会が主催する学術交流会)でも、ねこさんの口内炎についての最新の研究内容や治療法についての発表がありました。ねこさんの口内炎は、免疫の過剰反応が関与していることが示唆されており、定期的な歯科処置やケアでコントロール可能なことが多い歯周病と違い、口内炎の場合は内科治療だけでは改善が難しいケースもあります。
ねこさんの口内炎の診断と治療法
ねこさんの口内炎は、視診に加え、口腔粘膜の検査や血液検査などを経て診断を確定します。歯周組織に付着する細菌が原因となって炎症が慢性化・悪化することがわかっていますので、ねこさんの口内炎の治療法として、ほとんどの場合、抜歯が第一の選択肢となります。近年の研究報告によると、抜歯によって約8割のねこさんで「改善または大きな軽快」が期待できるとされています。ねこさんの口内炎の治療では、「歯を残すこと」ではなく「痛みなく食べて、穏やかに過ごせること」を目標とします。
ねこさんは、元々臼歯の形状と唾液の組成がヒトと異なるため、口の中で咀嚼して唾液と混ぜる必要がありません。ドライフードもウェットフードもそのまま飲み込んで良いように作られていますので、抜歯後も食事は続けることができます。
おわりに
ねこさんの口内炎は珍しい病気ではありません。「かわいそうだから」と抜歯をせずに様子を見ていると、症状が悪化して治療がより難しくなってしまうこともあります。ねこさんが痛がっている様子に気づいた場合は、できるだけ早くご相談ください。また、治療法や抜歯後の生活に関してご不明点などありましたら、どうぞ気兼ねなくお問い合わせください。

