遊んでいるうちに誤っておもちゃを壊して飲み込んでしまうなどの「誤飲・誤食」は年齢に関わらず発生しますが、とくに年齢の低いねこさん(0~2歳くらい)は好奇心旺盛で活発なため、誤飲や誤食が多い傾向にあります。中には重篤な症状を引き起こす場合も。今回のブログでは、当院で多く見られる誤飲・誤食の種類や今すぐ始められる予防策についてご紹介します。
ねこさんの誤飲・誤食が原因で受診された例
誤飲や誤食が原因で当院を受診されたねこさんのケースでは、まず圧倒的に多いアイテムがペースト状のおやつの袋です。おやつが収納されている引き出しを勝手に開けてしまったり、食べ終わった後の袋(まだ匂いが残っているもの)をゴミ箱から見つけ出してしまったりといった行動の結果、袋ごと飲み込む、または嚙みちぎって破片を飲み込むなどの誤飲・誤食が発生しています。一見無害なおやつの袋ですが、プラスチック製で体内には吸収されない上に、ギザギザと尖った形状をしているため、消化器官を傷つけてしまうリスクが高い異物の一つです。
猫じゃらしのような紐のついたおもちゃも要注意です。一人(匹)遊びをしている最中に紐や先端部分のおもちゃがちぎれてしまい、誤って飲み込んでしまうようなケースが多発しています。
また、意外と知られていませんが、誤飲・誤食リスクの高いアイテムの一つに滑り止めや防音などで使用されるクッションマットがあります。クッションマットの感触が好きで、つい噛みついてしまうねこさんがいます。紐やクッションマットなどは腸内で引っかかりやすく、万が一腸内で絡まってしまった場合は細胞の壊死につながる大変危ない異物です。
ねこさんの誤飲・誤食、症状や治療方法
ねこさんが異物を誤飲・誤食すると、食道や胃などが傷ついたり、腸内で詰まったりするため、嘔吐や食欲不振、異常便などの症状が出ることがあります。ねこさんの誤飲・誤食が疑われて症状が気になる場合は、できるだけ早く動物病院を受診してください。
ねこさんの誤飲や誤食が原因で受診された際、当院ではレントゲンやエコー、問診などによって診察を行います。状況によっては内視鏡や開腹手術が必要になる場合もあります。たとえ大変小さな異物だったとしても、その素材や形状によっては消化器官内で刺激物となる可能性もあります。気になる症状がある場合はできるだけ早く獣医師にご相談ください。
ねこさんの誤飲・誤食を予防するために
内視鏡や開腹手術はねこさんの身体に大きな負担をかけます。また、誤飲・誤食した異物を取り除くことができても、傷ついた消化器官内が完全に回復するまでは辛い症状が続くこともあります。そうならないためにも、ねこさんの誤飲・誤食はしっかりと予防することが大切です。
ねこさんが大好きなおやつやおもちゃは、ねこさんに与えたままにせず、ねこさんが絶対に届かない/開けられない場所に収納するなどの工夫が必要です。また、匂いが残るおやつの袋は、匂いが外に出ないように二重に袋に入れたり、ゴミ箱を蓋つきにしたりと、匂いが外に漏れないような工夫を行いましょう。
おわりに
今回はねこさんに多い誤飲や誤食の特徴と予防策についてご紹介しました。とくに2歳以下のねこさんに多い傾向がありますので、飼い主様はぜひ参考にしていただければ幸いです。