猫さんの目の病気とその治療法について

元気そうに見える猫さんでも、「目やにが多い」「目が開けにくそう」「涙が多い」などの目の症状が気になることはありませんか?

これらは代表的な結膜炎の症状ですが、同じような症状を起こす別の病気(「ぶどう膜炎」や「角膜炎」など)が隠れていることもあります。症状が軽い場合は「いつものことだから」と様子を見てしまいがちですが、中には放置しておくと症状が悪化してしまい、気づいた時には手術が必要になってしまったり、視力の一部(またはそのほとんど)が失われてしまったりする場合もあります。

猫さんの目の症状が気になる時は、必要な検査によって診断を行い、早い段階で適切な治療へと繋げることが大切です。今回は猫さんの目の病気の中でとくに多い結膜炎について解説します。

結膜炎の原因

猫さんの結膜炎の多くは、「猫ヘルペスウイルス」によって引き起こされます。「猫ヘルペスウイルス」は、感染している猫さんの涙や鼻汁などの分泌物によって猫さんから猫さんへ感染します。このウイルスの特徴として、一回体内に入れてしまうと生涯に渡って体の中にウイルスを保有する形になってしまうということがあります。ほとんどの猫さんは親や兄弟と一緒に過ごす子猫の時期に感染しますが、一度症状が落ち着いたあとも神経の中に潜んでいます(初感染時には、目ヤニや鼻水などの風邪症状)。しかし免疫力が低下するとウイルスが増殖し炎症を起こします。なお、人が感染する「ヒトヘルペスウイルス」もありますが、猫さんが感染するものとは別のウイルスなので、お互いに感染することはありません。

免疫力の低下は、季節の変わり目や環境の変化などさまざまな要因によって引き起こされます。「引っ越しをした」「家族が帰省している」「新しい猫さんを向かい入れた」などのタイミングは要注意です。症状の出方は猫さんによって異なりますが、症状が続く、季節の変わり目ごとに症状が出るといったことがあれば、一度受診されることをおすすめします。

検査や治療法

▲スリットランプによる検査の様子

眼科の症状で受診いただいた場合の流れは以下のようになります。

  1. 問診:まずは気になる症状についてお聞かせください。
  2. 検査:症状に応じたいくつかの検査を行います。所要時間はほとんどの場合10分程度です。
  3. 診断:検査によって原因を特定し、診断を行います。
  4. 治療・薬の処方:同じ病気でも複数の治療法がある場合があります。治療法の選択肢をご提案し、猫さんの一番近くにいる飼い主様と一緒にその子に合った治療法を考えていきます。(病気の種類や程度にもよりますが、目薬が苦手な猫さんに飲み薬や注射をご提案することもございます。)

▲流涙(涙が多い)の症状で来院された猫さん

▲結膜浮腫と充血の症状で来院された猫さん

当院で実施可能な眼科の検査の一部をご紹介します。

  • スリットランプによる一般眼科検査
  • 眼底レンズによる眼底検査
  • 結膜細胞診
  • 超音波検査
  • 眼圧検査
  • シルマーティアテスト

ワクチンの定期接種もご検討ください

処方薬に加え、目の症状でお悩みの方にぜひご検討いただきたいのがワクチンです。猫さんのワクチンとして一般的に推奨されている「混合ワクチン」(3、4、5種全て)というものがありますが、実はこの中に猫ヘルペスウイルスの発症予防が含まれています。これは猫ヘルペスウイルスの感染そのものというより、感染後の発症や症状の悪化を防ぐ効果を狙ったものです。猫ヘルペスウイルスによる目の症状が気になるという猫さんには、1年に1回の定期接種をおすすめしています。ワクチン接種は一年を通して行っておりますので、時期関わらずいつでもお問い合わせください。

おわりに

当院の西谷院長は、酪農学園大学の研究生として眼科専門医の元で学び、これまで多くの眼科の症例を診断・治療して参りました。当院では、猫さんの眼科において基本的な検査や治療について対応しているほか、眼科専門医による治療が必要な場合は、当院で診断を行った後に眼科専門医を紹介することも可能です。「目薬を使っているが、効いているのかよくわからない」といったお声も聞きます。当院ではまずは検査によって診断を確定し、適切な治療につなげていくということを大切にしております。目の症状でお悩みの方はぜひ一度ご相談ください。