先日開催した「【期間限定Q&Aコーナー】西谷先生に聞いてみよう!」では、たくさんの方々にご参加いただきありがとうございました!今回はその中から、脱毛(毛が抜けてしまう)や裂毛(毛が切れたり折れたりしてしまう)に関する質問をピックアップしてご紹介します。
ねこさんの脱毛・裂毛が気になったら
今回のQ&Aコーナーにお寄せいただいた「脱毛・裂毛」に関するご質問は以下の2件です。
Q.毛づくろいのしすぎでお腹の毛がはげてしまい、通院して薄っすら毛は生えてきましたが、どのくらいでまたフサフサに毛が生えてきてくれるでしょうか?
Q.17歳猫です。舐め壊して毛が抜けて、治ってを繰り返しています。普段の生活で改善できることはありますか。
ねこさんの脱毛や裂毛では、症状や状態によって原因が異なるため、残念ながら全てのケースに当てはまる対処法はありません。気になる症状がある場合は、まずは動物病院を受診していただき、原因を見極め、個別の症状に応じた治療を行うことが基本となります。今回お寄せいただいた上記の二つのご質問についても、さまざまな原因が考えられるため、一度獣医師による診察を受けていただくことをおすすめします。
ねこさんの脱毛や裂毛についての受診の目安としては、以下の2点を基準に考えていただくと良いでしょう。
- 脱毛や裂毛に加えて皮膚症状(赤み、腫れ、湿疹など)があるか
- 食事や遊びを中断して毛づくろいするなどの生活の質の低下が見受けられるか
また、上記のどちらにも当てはまらない場合であっても、飼い主様が「おかしい」「気になる」と感じられた場合は、ためらわずに動物病院を受診してください。
ねこさんの脱毛・裂毛の原因と治療法
ねこさんの脱毛や裂毛には、主に以下の2つの原因が考えられます。ただし、前述しました通り、個別の症状によって以下の原因以外にもさまざまあり、中には全く別の疾患が潜んでいる可能性もあります。気になる場合は自己判断せずにまずは動物病院への受診をおすすめします。
- 皮膚のかゆみや体の痛み
感染症やアレルギー疾患などによる皮膚のかゆみや、膀胱や足の痛みなどが原因となっている可能性が考えられます。このケースでは、まずは症状の原因を突き止めるための問診と検査を行い、原因を取り除くことに焦点を当てた治療を行います。
- 心因性によるもの(ストレス・依存)
毛づくろいには、毛並みを整える以外に、心を落ち着かせる効果もあると言われています。そのため、過剰な毛づくろいは、精神的なストレスが関わっている可能性もあります。毛づくろいの頻度によっては、逆に皮膚症状を発生させてしまうリスクもあり、そうした場合は、ストレスを軽減する薬やサプリメント、療法食などをご提案しながら治療を進めていきます。飼育環境を工夫するなど、生活面での配慮によって改善が見られる場合もあります。
ねこさんの脱毛・裂毛の予後
脱毛や裂毛の原因を取り除くことができれば、症状は改善し、早ければ1か月から数か月程度で毛並みが戻ることもあります(個体によってその早さは異なります)。もし「治療を行ってもなかなか改善されない」または「何度も繰り返す」などの場合は、治療が適切でない、または別の原因が関わっているなどの理由も考えられますので、主治医にご相談ください。
おわりに
当院でも脱毛や裂毛によってご来院される飼い主様が多数いらっしゃいます。気になる症状がある場合は、ぜひ一度ご相談ください。