犬の病気として知られている「フィラリア症」ですが、猫さんにも感染することが分かっています。フィラリア(寄生虫)は蚊の媒介によって感染するため、たとえ室内飼育であったとしてもしっかりと予防することが大切です。
フィラリア症とは?
蚊が媒介する感染症
猫さんがフィラリアを持つ蚊に刺されてしまうと、フィラリアの幼虫(ミクロフィラリア)が猫さんの体内に入ります。ミクロフィラリアは、猫の体内では大きく育つことは稀ですが、少数の小さなフィラリア寄生であっても、元気、食欲の低下、咳や呼吸困難、嘔吐や体重減少など、さまざまな症状が出ることが知られています。
フィラリア症は一般的に犬の病気として知られていますが、最近は、フィラリアは猫さんにも感染し、尚且つ重篤な症状を出すことがあることが分かってきました。ここ札幌でもフィラリアの発生が確認されたため、現在では札幌でも(完全室内飼育の猫さんであっても)フィラリア症の予防が推奨されています。
フィラリア症に感染すると
フィラリアに感染した猫さん全員が必ずフィラリア症を発症するわけではありません。しかし、フィラリア症の症状は多岐にわたるため、他の病気と区別がつきにくく、診断に時間がかかってしまうという点に注意が必要です。
また、一度フィラリア症を発症してしまうと、症状の改善が難しく、中には呼吸困難などの重篤な症状が出てしまうこともあります。そのため、フィラリア症はしっかりと予防していくことが重要です。
フィラリア症を予防するには?
フィラリア症の予防には、滴下薬(透明のとろみのある液体薬)を使います。背中や肩甲骨の間など、猫さんが自分で舐めることができない位置の毛をかきわけ、皮膚に薬を垂らします。投与した部分が乾くまでは触らないようにするため、ブラッシングは翌日からとし、シャンプーなどは3日間控えていただくようお願いしています。
フィラリア予防の薬は何種類かありますが、当院では一度の投与で効果が3か月持続する「ブラベクトプラス」を使っています。札幌のフィラリア予防期間に合わせ、6月に一度目、9月に二度目の投与を行います。なお、「ブラベクトプラス」はフィラリアだけでなく、ノミおよびマダニの予防薬も含まれているオールインワンタイプです。年に2度の投与で寄生虫予防が完結するので、猫さんにとってもストレスが少なくおすすめしています。
おわりに
猫さんのフィラリア症については、まだあまり周知されていないため「感染してしまったらどうしよう」と不安に感じる飼い主様もいらっしゃるかもしれません。フィラリア症はしっかりと予防することが大切です。気になることがありましたら、一度当院獣医師までご相談ください。